Chaos © KAKU 1530 × 1800 mm Collection of Ginza Ippodo Gallery
「私の作品は人が持つ遥か昔の遠い記憶の世界へのトンネルの様です」
和紙や漆、金属といった素材を用いたKAKUの質感豊かな作品は、50年以上にわたり世界中の人々を魅了してきました。今回のTokyo Gendaiでは、銀座一穂堂とともに作品を出展します。以下のインタビューでは、KAKUが自身の制作プロセスと、作品を形作る記憶について語ります。
和紙の素材に惹かれた理由や、どのような点に可能性を感じていらっしゃいますか?
和紙の持つ質感、美しさ、柔らかさが、作品の制作上曲線を表現する上でも、一番手に馴染む素材だった事です。
KAKUさんは作品をつくる際、何を出発点にされることが多いですか?
私の作品のアイデアと言うべき物は、何か意図したものではなく、私の脳内から、こぼれ落ちて来たものを拾い上げたものだと思います。




作品で使う色彩には、どのようなインスピレーションから生まれるのでしょうか?
色に関しては、ハンガリー時代の暗い空からの解放、あるいは、光と希望を色に込めての表現だった様です。現在は、白の作品が、中心に、なっています。
制作は瞑想に近い時間とも表現されていますが、それはどのような意味があるのでしょうか?
私の作品に表現されている物は、いつも、人が持つ遥か昔の遠い記憶、自分が、生まれる前の暖かく、懐かしい記憶の世界へのトンネルの様です。
Tokyo Gendaiで作品をご覧になる方々に向けて、伝えたいことや感じてほしいことがあれば教えてください。
私の作品の前に立つ人それぞれが、作品との対話を楽しみ、私の世界 (懐かしく幸せな記憶) のカケラを持ち帰るのかも知れません。
<ありがとうございました。9月のTokyo Gendaiでまたお会いできるのを楽しみにしています。銀座一穂堂のウェブサイト はこちら!>
KAKU
KAKU(1950年生まれ)は国際的に高く評価されるアーティスト兼デザイナーです。伝統的な日本の素材を前衛的に扱うアプローチで、50年以上にわたり観客を魅了してきました。KAKUは、和紙や漆、金属といった素材を用いて、展示インスタレーションや機能的なオブジェを制作しています。椅子のエルゴノミクスを再構築する試みや、針金に巻き付けた和紙で鯉の形を表現する作品など、独自の手法は日本国内外で注目を集めており、1975年以降、世界各地で幅広く作品を発表しています。