Lee Kang-so, Untitled, 1993, Oil on Paper 57x75cm, Courtesy of the artist.
今年のTokyo Gendaiでは、韓国のアートフェア Art Busan とのパートナーシップ CONNECT を通じて、9組の韓国ギャラリー及び2組の海外ギャラリーが参加します。
本パートナーシップを通じてTokyo Gendai に出展する参加ギャラリーと展示の魅力を、順にご紹介します。
EM gallery


EM gallery は、今年のTokyo Gendaiで二人の韓国人アーティストを紹介します。いずれもインクを用いて制作しており、Moonassi は人と人との会話や関係性を、Cho Hwaran は生命における最も根源的な行為である「呼吸」を主題としています。二人はともに韓国画を学んだ背景を持ち、異なるアプローチをとりながらも、伝統的な技法を現代的な感性で再解釈しています。
Gallery Baton


Gallery Baton は、Tokyo Gendai にてグループ展「Contemporary Abstract Art」を開催します。本展では、韓国アヴァンギャルドの先駆者である Song Burnsoo による棘をモチーフとした抽象画や、コンセプチュアル・アーティスト Koh San Keum の人工パールを用いたミクストメディア作品を展示。また、Suzanne Song によるミニマルな絵画と Jimok Choi のカラーフィールド作品が、それぞれ独自の視点から抽象表現に新たな解釈をもたらします。
Gana Art


Gana Art の展示「Six Ways of Seeing」では、世代もバックグラウンドも異なるアーティストたちの作品が一堂に会します。Shim Moon Seup は幼少期の海辺の記憶を呼び起こし、Huh Myoungwook は重ねられた色彩によって時間の流れを描き出します。Song Sumin はニュース画像、子どもの落書き、植物の模様を組み合わせ、視覚文化の矛盾を問いかけます。Adam Himebauch はアメリカ中西部での竜巻警報の記憶をダイナミックな構図へと昇華。さらに Andrew Moncrief による抽象化された人物像や、Ro Eun Nim による自然の力を描いた力強い作品も出展されます。
Johyun Gallery


Johyun Gallery はブース出展に加え、Kim Taek Sang による展示を、インスタレーションを紹介するプログラム Sato ‘Meadow’ にて発表します。Kim は30年以上にわたり水を主なメディウムとし、希釈した顔料をキャンバスに何層にも重ねて乾かす手法を探求してきました。作品はあえて完成形を定めず、周囲に反応しながら変化し続ける「生きた表面」として存在しています。
PYO Gallery


PYO Gallery のブースでは、境界、物質性、そして存在の本質をテーマに、東洋美学に根ざしながらも国際的な対話を試みる実験的なアプローチが展開されます。6人のアーティストによる展示のなかでも注目は、ソウルの国立現代美術館での個展を終えたばかりの Kang So Lee と、昨年高い評価を受けて再び Tokyo Gendai に登場する Kim Tschang-Yeul です。
BANK



BANKのギャラリー名は、創設当初に拠点を置いていた上海のバンクユニオンビルに由来します。現在は安福路に拠点を移し、さらに今年ニューヨークにも新たなスペースをオープンしました。Tokyo Gendai では、中国人アーティスト Liang Hao、Wang Rui、Zhang Yibei の作品を紹介。それぞれが「身体」をテーマに、人間の知覚の儚さや、身体を通じた経験の在り方に迫ります。
ShanghART Gallery


上海を拠点とする ShanghART Gallery は、1950年から2005年生まれまで、世代を超えた10名以上のアーティストによる作品を展示します。Sun Xun によるアニメーション映画 Magic Atlas の一部や、中国人シェフの日本での生活を描いた Liu Yi の墨絵アニメーションが見どころ。また、Hu Xiangcheng は中国と日本のあいだで培われた越境的な経験を、ミクストメディア作品として表現します。
The Columns Gallery


Jung Jong Mee は韓国の伝統的な桑の木の紙「韓紙」を用いた作品で高く評価されているアーティストです。今年の Tokyo Gendai では、17世紀の詩人 Yoon Seon Do の詩「漁父の歌」を再解釈した作品を展示。伝統的な素材と技法を用いながら、自給自足的な理想郷のイメージを現代的な文脈へと翻訳します。また、The Columns Gallery は韓国を代表する Kim Kang Yong、Lee Dong Youb、Lee Hyun Joung の3人の作品も出展。各作家はそれぞれのアプローチで既存の形式に挑み、韓国美術とその伝統の新たな可能性を切り拓いています。
The Page Gallery


The Page Gallery は、韓国のアーティスト Vio Choe による個展形式のブースを出展します。Vio Choe はニューヨークでのゲームデザイナーとしての経験や、相対性理論や量子力学といった科学理論から着想を得て制作を行っています。絵具をチューブから直接絞り出して構成される緻密な画面は、体験・時間・空間のつながりを探る試みでもあります。
THEO


THEO が個展形式で紹介するのは Choi Wonkyo の作品です。写真・彫刻・インスタレーションを横断する彼の実践は、デジタル画像をカットし重ね合わせることで、平面的な写真を触覚的なかたちへと再構築します。ポストデジタル時代における「見ること」「記憶すること」「空間に存在すること」を問いかけます。
VODA gallery


VODA Gallery は、Jaehyoung Im による初の国際的プレゼンテーションを紹介します。個人的、そして集団的な喪失の経験から生まれた絵画、版画、モノタイプ作品を通して、「悲しみ」や「喪失感」といった感情に向き合う彼の実践を展観。展覧会タイトル Breaths Between Verses のもと、呼吸のリズムを軸に空間全体が構成されます。