田嶋悦子による個展「 Hydrangea -水の器- 」、イムラアートギャラリーにて開催

Saturday 24 May, 2025

Flowers

1980年代、旧来の美術の枠に囚われないパワフルな表現を特徴とする女性作家たち「超少女」を代表するアーティストとしてデビューを果たした田嶋悦子は、女性の体を象徴する造形と力強い原色で構成される作品で大きな注目を浴びました。

1988年頃からは植物のイメージを伴う有機的でうねるようなフォルムが現れます。同時に作品表面の派手で艶やかな色彩は影をひそめ、質感さらには作品の周りに存在する空気を含めたかたちを意識する制作へ移っていきます。この流れを汲むように1992年頃から田嶋の作品は白化粧のみを施した一連の白い作品へと変化を遂げます。

記号化されたフォルムは心の奥底に潜む精神性のシンボルのようで静謐な世界観を感じさせます。間もなく田嶋は、ガラスの細片を石膏型に詰め窯で成形するモールド・キャストと呼ばれる手法で生まれる、半透明のガラスを組み合わせる新たな表現へと到達します。タタラで造形し色化粧を加え焼成した陶、それに呼応するようにガラスが融合し、洗礼されたしなやかな勢いを感じさせます。

本展では新作を中心に、晩春から梅雨にかけての季節にふさわしい作品を紹介。空間の中央を覗き込むと、そこには黄色い花々が広がり、花弁の内側に水を湛えて、さらなる生命の豊かさへとその姿を伸ばしています。また、陶とガラス、それぞれの収縮率の違いによって生まれる貫入(かんにゅう)は、時間の経過を物質の表面に刻みつけるようにして、素材の生きた時間を静かに語りかけてくるかのようです。ガラスの透明感がもたらすみずみずしさとともに、やわらかな明るい黄色の陶の表情は、品を備えながら、力強い生命力に溢れています。

展示は現在開催中-2025年6月7日(土) まで。
場所:イムラアートギャラリー
〒606-8395 京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31
営業時間:12:00-18:00
休廊:日月祝
入場:無料

詳細は、イムラアートギャラリーのウェブサイトにアクセス。

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