まだ見ぬ日本美術の価値を発見する —— みぞえ画廊インタビュー

Friday 21 August, 2026

優れた作品は、時代の評価を超えて残り続ける。そして、まだ広く知られていない価値を見つけ出し、次の世代へつないでいくことも、ギャラリーの重要な役割のひとつだ。

2008年の開廊以来、日本美術と真摯に向き合い、時代に左右されない作品と作家を紹介してきたみぞえ画廊。今回Tokyo Gendaiで取り上げるのは、戦後、日本からイタリアへ渡り、独自の道を切り拓いた彫刻家・豊福知徳だ。

1960年代から90年代にかけての作品を通して浮かび上がるのは、一人の彫刻家が国境を越えて追い求めた造形の可能性。日本美術を深く知る人にも、これから新たな作家を探す人にも、豊福知徳という存在を改めて発見する機会となるだろう。

豊福知徳をはじめ、作家と作品の価値をどのように見つめ、未来へつないでいくのか。みぞえ画廊がこれまで大切にしてきた視点について、ギャラリストご本人に話を聞いた。

みぞえ画廊 新館 本館
みぞえ画廊 新館 本館

みぞえ画廊は2008年の開廊以来、「流行や時代に左右されない、上質な作品・作家を紹介する」という理念を掲げ、近代から現代まで幅広い日本美術を紹介されてきました。初めてブースを訪れる方に向けて、ギャラリーが大切にされている考え方や、作品・作家と向き合う際の視点について教えてください。

私はアーティストの内なるものから生まれるものが作品であり、評価や売れる売れないはその先にあるものだと考えています。なのでアーティストに対して、こうして欲しいとか、こうしたら良いとかいう事はほとんどありません。特に売れるためにという事は絶対言わないし、考えないようにしています。

流行や時代の流れに左右されず、自身が真に表現したいものを創り出すことに人生をかけているアーティストを支え、1度や2度の結果で判断することなく、長期的な視点でアーティストと伴走する存在でありたいと考えています。

物故者の作品を扱う時でも、そういう視点で作家、作品を選びます。そしてギャラリーはアーティストの代弁者であり、今回の豊福知徳先生の様に、亡くなった後でもアーティストの作品とその意思を世界に伝え続ける存在でありたいと考えています。

みぞえ画廊 庭
みぞえ画廊 庭

近年はアートマーケットも国際化が進み、作品が「資産」として語られる機会も増えています。その一方で、みぞえ画廊では一貫して「流行に左右されない価値」を大切にされてきました。ギャラリストとして、作品の価値とは何によって育まれるものだとお考えでしょうか。

作品の価値=価格ではありません。後者は流行や時代の流れ、需要と供給で変動するものですが、本来作品が持つ価値とは不変的なものだと考えています。そしてそれは人によっても変わるでしょう。アーティストも様々であれば、それを求める人の嗜好も様々で、全ての人にとって同じ価値があるという事は有り得ません。アーティストの生み出すものに共感し、それを扱うギャラリーがいて、それを求め手にし、世の中に残していく人がいる。その関係が価値を生んでいくものだと考えています。

みぞえ画廊福岡店 内観
みぞえ画廊福岡店 内観

みぞえ画廊は、近代美術の巨匠から現代作家まで、日本美術の豊かな系譜を国内外へ紹介し続けています。世界中からコレクターやキュレーターが集まるTokyo Gendaiという国際的な舞台では、日本のアートの魅力をどのような視点で伝えたいとお考えですか。

 

日本のアーティストの作品は質が高く、まだまだ知られてなくもっと世界的に評価されて良い作家がたくさんいます。私たちが世界に出て行ってそれを伝えていくことも大事ですが、それには大変な努力と時間、資金が必要です。世界から日本に多くの人が来てもっと多くの優れた日本のアートを伝えることができる、そんな場になる事を期待しています。

今回のTokyo Gendaiのブースでは、ぜひ注目してほしい作品やアーティストについて教えてください。また、その作品を通して来場者に感じてほしいことがあればお聞かせください。

今回のみぞえ画廊のブースは彫刻家豊福知徳の個展で、1960年代から90年代までの作品を展示しています。

戦争を乗り越え、イタリアに渡った豊福知徳先生が日本人としてどう生き、世界で戦ってきたか。先生の力強い作品から、その生きざまを伝えることができたらと思います。

Tomonori Toyofuku 《Untitled》(1961)wood, 715x1760x100mm, MizoeArtGallery
Tomonori Toyofuku 《Untitled》(1961)wood, 715x1760x100mm, MizoeArtGallery

Tokyo Gendaiには、日本だけでなく世界中からアートファンやコレクターが集まります。今回初めてみぞえ画廊と出会う方々へ、そしてこれからの日本のアートシーンに向けて、どのような期待やメッセージをお持ちでしょうか。

私も福岡でART FAIR ASIA FUKUOKAというアートフェアを開催していて、日本のアートシーンの活性化、マーケットの醸成にはアートフェアの存在は重要だと考えています。

Tokyo Gendaiをきっかけに、世界の方がもっと広く日本のアートシーンに目を向け、日本全体が活気づくことになることを期待しています。

ありがとうございました。9月のTokyo Gendaiでの展示を楽しみにしています。

知らなかった美術に、出会う。
豊福知徳の作品を、会場で。

会期:
2026年9月11日 (金)〜13日 (日) *ヴェルニサージュは9月10日 (木) 

会場:
パシフィコ横浜

ブース:
みぞえ画廊

チケット購入先:

みぞえ画廊

2008年に福岡で誕⽣し、2012年に⽥園調布にて東京店を開設。以来九州と東京のアートシーンを結ぶ存在として、そこから世界へ⽇本の優れたアートを発信するギャラリーとして活動の場を広げてきました。コンセプトは「流⾏や時代に左右されない、上質な作品、作家を提供する」こと。時代が変わっても⼈に感動を与え続ける事ができる、普遍的な価値を持ったアートを求め続けます。

アートを鑑賞する環境にもこだわりを持った店づくりを展開。福岡店、東京店ともに郊外の閑静な住宅街に位置し、広い敷地と緑あふれる庭園に囲まれた⼀軒家を利⽤したギャラリースペースが特徴です。東京店においては本格的な和⾵建築の邸宅の中で各部屋に合わせた作品展⽰が愉しめます。都⼼の喧騒の中では得難い、豊かで静かに流れる時間の中で作品と向き合う事ができる環境を実現しています。

また、福岡店では2020年既存のギャラリースペースの隣に新館をオープン、2つの趣の違ったスペースで特⾊ある企画展、常設展でのコレクショ展⽰を開催しています。また、郷土の優れたアーティストを顕彰し続ける事を目的とし、福岡市内には豊福知徳ギャラリー、福岡県飯塚市にはみぞえアートギャラリー野見山暁治館を開設し、両氏の作品を常設展示しています。

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