静かな佇まいでありながら、見る者の身体感覚に深く働きかける森淳一の作品。
石や木、陶、写真、絵画など多様な素材を自在に行き来しながら、彫刻という表現の可能性を広げ続けてきた。長年にわたり国内外で発表を重ね、その作品は時間や記憶、場所へのまなざしを静かに映し出している。
Tokyo Gendaiでは、会場だからこそ伝わる素材の質感やスケール、光によって刻々と変化する表情を体感できる貴重な機会となる。本インタビューでは、森淳一が歩んできた創作の軌跡と、現在の制作について話を聞いた。
彫刻を含め作品制作を始めたきっかけ、影響を受けた出来事や作家など教えてください。
1995年の夏に東京の青山、原宿と長崎市で開催された「水の波紋95」展は自分の制作について考える大きなきっかけになりました。長崎展を観ることは叶いませんでしたが、長崎展のチラシに掲載されていた宮島達男さんの作品に息をのみました。この展覧会を境に出自である長崎の歴史に目を向けるようになりました。
森さんの作品には彫刻、絵画、陶、写真など、様々な素材や技法が含まれていますが、制作をする際にどのように選んでいますか。
制作プロセスは特に決まっておらず、毎回異なる手順で制作は進んでいます。作品の内容と素材、技法が強く関係している時もあれば、制作環境や展示空間が素材の選択に影響を及ぼすこともあります。また、素材や技法がもつ制約は、制作プロセス自体をドリフトさせ、新たなイメージを導いてくれる存在でもあります。
現在取り組んでいるシリーズ、作品について教えてください。
2025年から《星翳》というシリーズに取り組んでいます。このシリーズは最終的に大小400〜500の彫刻で構成される予定です。アルベルト・ジャコメッティの《キューブ》という作品に触発され開始したシリーズで、主にオニキスという石を用いて制作を続けています。オニキスは半透明で複雑な石目をした素材です。その性質を積極的に取り入れながら、物質と人が持つ固有の時間、記憶などをキーワードに制作を進めています。
今年のTokyo Gendaiで、森さんの作品と出会う観客の皆さまへ、一言メッセージをいただけますか。
Tokyo Gendaiでは《星翳》シリーズの一部を展示する予定です。是非、未来の全体像を想像してお楽しみください。
ありがとうございました。9月のTokyo Gendaiでの展示を楽しみにしています。
石に刻まれた時間と出会う。 森淳一の彫刻を会場で。
会期:
2026年9月11日 (金)〜13日 (日) *ヴェルニサージュは9月10日 (木)
会場:
パシフィコ横浜
チケット購入先:
森 淳一
1965年長崎県生まれ。1996年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた水の流れや髪の毛などの素描を元に、大理石や柘植の木を用いて制作した一連のシリーズや、故郷の長崎で起きた原爆をテーマとする作品などを制作。彫刻だけでなくセラミックや写真、油彩など、表現方法は多岐にわたる。近年の主な展覧会に、2025年「ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた」(長崎県美術館)、「東京ビエンナーレ2025」、2026年「裏庭の鏡」(ミヅマアートギャラリー、東京)など。





