2015年に台北で設立されたDouble Square Galleryは、絵画や彫刻から映像、インスタレーション、デジタルメディアまで、表現の境界を越えながら、現代を鋭く見つめるアーティストたちを紹介してきました。ギャラリーとコレクター、ローカルと国際、アートと社会。その「あいだ」に生まれる対話を大切にしながら、ギャラリーという場そのものの可能性を広げています。
Tokyo Gendaiでは、台湾のアートシーンから世界へとつながる新たな対話が生まれます。
Double Square Galleryのこれまでの歩みと、現在に至るまでギャラリーの指針となっているビジョンについて教えてください。
Double Square Galleryは、2015年に台北で設立され、現代美術のプロモーション、キュラトリアル活動、リサーチ、コレクティング・サービスを軸に活動しています。
「Double Square」という名称は、2つの異なる長方形の空間からなるギャラリーの建築そのものを直接的に表しています。同時に、「二つの側」の間に生まれる交流、対話、つながりという、より深い意味も込められています。
私たちはギャラリーを、こうした二つの側をつなぐ、ダイナミックな架け橋だと考えています。それは、あなたと私、アーティストとキュレーター、ギャラリーとコレクター、ローカルなルーツと国際的なアートシーンなど、さまざまな関係を指します。
商業ギャラリー、アート・インスティテューション、そして実験的なプラットフォームが交差する場所として活動することで、私たちは多様性を受け入れ、創造の境界を押し広げています。この時代における「ギャラリーとは何か」を再定義し、世界の現代美術の議論において、一つの確かな存在として認識されることが私たちの目標です。
ビデオ、インスタレーション、デジタルメディアなど、さまざまな分野のアーティストと活動されています。特にどのようなアーティストの実践に関心を持ち、支援していきたいと考えていますか?また、その理由を教えてください。
私たちはビデオ、インスタレーション、デジタルメディアを積極的に扱っていますが、活動の対象はそれらに限らず、絵画、版画、彫刻など、あらゆる表現媒体に及びます。私たちは、媒体によって自分たちやアーティストの可能性を限定することはありません。
私たちが本当に重視しているのは、アーティストが自身の実践を通して、現代という時代にどれだけ深く応答しているかということです。
伝統的な絵画技法を用いる場合も、複雑な版画作品を制作する場合も、あるいは没入型のサイトスペシフィックなインスタレーションを構築する場合も、媒体はあくまでアーティストの「語彙」を拡張するものにすぎません。
私たちが惹かれるのは、厳密なコンセプチュアルな思考、批評的な観察、そして社会との真摯な関わりに根ざした実践です。
ギャラリーとしての私たちの使命は、あらゆる表現媒体を尊重する柔軟なプラットフォームを提供し、アーティストが現代社会の複雑さを、力強く意味のある芸術表現へと変換していくことを支えることです。
今年、Taneセクターでは蔡國裕(ツァイ・クォンユー)の《We Are Not Performing》を発表されます。このプロジェクトがTokyo Gendaiにおいて特に意義深いと考える理由と、来場者にどのような体験をしてほしいと考えていますか?
活気あふれる大都市・東京において、《We Are Not Performing》をTaneセクターで発表することには、大きな意味があると考えています。東京では、日常生活とデジタル・インターフェース、そして消費のためのディスプレイとの境界が、非常に曖昧になっているからです。
蔡國裕は、ユーモアと都市への介入を通して、私たちの感覚がどのように形成され、条件づけられているのかを問いかけます。磨き上げられたスクリーンを手にすることや、ショーウィンドウのガラス越しに座ることさえも、日常の何気ない行為を、本人の意思とは無関係な「パフォーマンス」へと変えてしまうのです。
このプロジェクトを通して、来場者には蔡國裕特有の不条理なユーモアや鋭い社会批評を楽しんでいただくだけでなく、自分自身が日々どのようなメディアを介した習慣の中で生きているのかについても考えてほしいと思っています。
そして、「つくられた欲望」と「本物の現実」との間にある隔たりに目を向けることで、私たち一人ひとりが、日常生活の中にある本来の感触や、自分自身で選択し行動する感覚を、もう一度見つけ直すきっかけになればと考えています。
今年のブースで、特に来場者に発見してほしい作品や瞬間はありますか?
今回のTaneセクターでの展示では、蔡國裕の作品を通して、来場者がふと何かに気づく、そのさりげなくも鮮やかな瞬間を体験していただけることを、特に楽しみにしています。
一見すると、蔡國裕ならではの機知に富んだユーモアや、不条理な状況、遊び心あふれる都市への介入に惹きつけられることでしょう。しかし、ブースで少し時間を過ごすうちに、最初の笑いは、より深い内省へと変わっていきます。そこで突然、画面の中で繰り広げられている行為が、ショーウィンドウのガラス越しやスマートフォンのカメラの前で過ごす、自分自身の日常の行動と重なっていることに気づくのです。
活気あふれるアートフェアの中で、来場者がふと足を止め、単なる傍観者から、自分自身を意識する参加者へと変わっていく。そして、ブースの中で私たちスタッフと自然な笑顔や活発な会話を交わしていただけることを楽しみにしています。
Tokyo Gendaiでブースをご覧いただいた後、来場者にどのようなものを持ち帰ってほしいですか?
来場者が私たちのブースを後にし、活気あふれる横浜や東京の街へ戻っていくとき、自分を取り巻く日常の風景を、ほんの少し違った視点から見つめられるようになっていてほしいと思います。
次にコンビニエンスストアのショーウィンドウを眺めたとき、スマートフォンの画面に触れたとき、あるいは人で賑わう街角で足を止めたときに、蔡國裕のユーモアや投げかけた問いが心に残っていてほしい。そして、メディアを介してつくられた表層の向こう側に目を向け、日常をより意識的に、ありのままに捉える感覚を取り戻すきっかけになればと願っています。
また、このプロジェクトにとどまらず、台湾の現代美術が持つダイナミズム、コンセプチュアルな強度、そして遊び心のある批評性についても、新たな魅力を感じていただければと思います。そしてDouble Square Galleryが、意義のある、未来を見据えた対話が常に生まれる、開かれた場所であることを知っていただけたら嬉しく思います。
ありがとうございました。9月のTokyo Gendaiでの展示を楽しみにしています。
台湾の現代アートが生み出す、既存の境界を越えた新たな視点を。ぜひTokyo Gendaiで。
会期:
2026年9月11日 (金)〜13日 (日) *ヴェルニサージュは9月10日 (木)
会場:
パシフィコ横浜
チケット購入先:
Double Square Gallery
2015年に台北で設立されたDouble Square Galleryは、現代美術のプロモーション、キュラトリアル活動、リサーチ、コレクティング・サービスを軸に活動するギャラリーです。
「Double Square」という名前は、2つの異なる長方形の空間に由来すると同時に、アーティストとキュレーター、ギャラリーとコレクター、ローカルと国際的なアートシーンなど、異なる存在の間に生まれる「交流」「対話」「つながり」を象徴しています。
絵画、彫刻、版画からビデオ、インスタレーション、デジタルメディアまで、表現媒体を限定することなく、現代社会に深く応答するアーティストの実践を紹介。厳密なコンセプチュアルな思考、批評的な視点、社会との真摯な関わりを重視し、商業ギャラリーとアート・インスティテューション、実験的なプラットフォームの交差点として、新たな現代美術の可能性を探求しています。
台湾の豊かな文化的背景を起点に、世界のアートシーンとの対話を生み出しながら、これからの時代におけるギャラリーの新たな役割を模索しています。





