Ask Eri: 現代アートに対する6つの誤解

Monday 4 August, 2025

現代アートは、しばしば「難解」「敷居が高い」「コンセプチュアルすぎる」と誤解されがちです。本記事では、Tokyo Gendaiのフェアディレクター高根枝里が、よく寄せられる6つの誤解について紐解いていきます。

誤解1:現代アートはコンセプチュアルすぎる

現代アートは、人それぞれ答えが違うと思います。自分が「いいな」と思っても、他の人にとってはそうじゃないことも多くて、「自分が好きな作品や作家」を探す楽しさがあるジャンルだと思っています。
「コンセプチュアルすぎる」という印象は、おそらく抽象的で分かりにくいということなのかもしれません。でも、すべての作品を理解する必要はないと思っています。自分に響く一つの作品を見つけられたら、それはすごい宝物になると思うんです。

もちろん、その一つの作品についてもっと知るために勉強するのは良いことだと思いますが、最初から全部を理解しておく必要はないと思います。予習が大事な時もありますが、逆に予習なしで楽しめる時もあると思っています。
私自身がアートに惹かれたきっかけは、Jeffrey Deitchさんがやっていたニューヨークのギャラリー「Deitch Projects」に行ったことです。ものすごく圧倒されました。ただ単純に楽しかったんです。理解できたから感動したというより、ビジュアルと圧倒的なエネルギーが記憶に残る体験になって、心がワクワクしました。

誤解2:アートの背景や美術史をよく知らないと楽しめない

私は最初のきっかけは知識がなくてもいいと思っています。ただ、ある程度アートの背景や美術史を知っていると、楽しさが深まるのは事実です。

私も20代前半まではただ「面白い」という理由だけで見ていました。背景や意味を考えたことはありませんでした。でもニューヨークに住んでいたこともあって、知らず知らずのうちにアートに触れる機会は多かったです。

誤解3: お金持ちでないと関われない

全くそんなことはありません。学生時代、ギャラリーのオープニングやアートフェアに足を運び、どんどん好きになりました。作品に触れること、アートに関わることは、誰にでも開かれていると思います。もちろん作品を購入したいとなると、ある程度の資産は必要になりますが、それ以外の関わり方—見ること、知ること、楽しむこと—は平等に与えられた権利です。

誤解4: ギャラリーは入りづらい

アートフェアのブースなら、緊張してもすぐ出ることができますし、気になる作品がなければ離れればいいだけなので、すごく気軽に始められる場だと思います。
私も学生の頃は「作品を買う」という目線ではなく、「見る」という目線でフェアに行っていました。そういう入り方もありだと思います。

誤解5: 現代アートは見た目がよくない(美しくない)

作家によって本当にさまざまですし、「美しい」「美しくない」というのは、その人の美的感覚によるものだと思います。
見た目の美しさを追求している作家もたくさんいますし、一方で説明をあえてしない作家もいます。見る人それぞれが自由に感じてほしいというスタンスの方も多いです。

Art Talks, 2024

誤解6: 現代アートは難しくて理解しにくい

一見難しそうに見えるかもしれませんが、実はそうでもないと思います。作家の話を聞いたり、背景を知ったりすると、「自分の経験と重ねられる部分がある」と気づくことも多いです。
例えば、松川朋奈さんという作家は、同世代の女性にインタビューして、その物語を作品に落とし込んでいます。そういう作品は、私たち自身の経験とも重なりやすく、共感を持って見られると思います。

ただ、現代アートには正解がありません。「わからない」と感じることも含めて楽しんで欲しいのですが、人によって正解がないことについて「自由すぎて難しい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
自由すぎて難しく感じる方には、現代アートに関する入門書をおすすめします。一冊読むだけでも視点が変わります。いまは情報が多く、本やネットを通じて気軽に学べるので、自分に合った方法で入ってみると理解が深まるかもしれません。

Tokyo Gendai でもさまざまなトピックを取り上げる、トークプログラムArt Talksを開催します。作家さんから美術館キュレーターの皆様など幅広く登壇してもらえるのでこちらで美術の世界を覗いてもらうのも良い機会かもしれません。

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